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富士山の水で造られた地酒など、豊富な種類の酒やジュース、静岡茶が、滞在中すべて飲み放題のホテルが静岡・沼津市の戸田にありました。こだわりの発酵食も地元食材が満載。宿そのものが目的地となる旅になりそうです。
東名・沼津ICから車で約1時間10分。伊豆半島の駿河湾に面した沼津市戸田(へだ)に、「AWA西伊豆」はあります。戸田と言えば深海の生物、タカアシガニで有名ですが、今回の旅の目的はちょっと違ったものになりそうです。
まずフロントで「最高の一杯」
ホテルのテーマは「最高の一杯と、出会う宿。」です。
ワクワクしながらチェックインすると、フロントでおしゃれなグラスに入ったウエルカムドリンクをもらいました。
安倍川・藁科川上流で育つ本山茶、その特別区画で作られた希少な有機茶です。
しかも「氷出し」です。氷出しとは溶け出す氷の一滴一滴で、じっくりとお茶を抽出する方法です。今まで味わったことがないパンチの効いたお茶の風味に驚かされます。
そしてつい立ち止まってしまうのは、フロント横にあるバースペース。
都内の有名ホテルで経験を積んだソムリエがセレクトしたワインや、富士山の美しい水で造られた地酒、生ビールやオリジナルカクテルなどがそろっています。
お酒が飲めない人には柑橘ジュースやこだわりの静岡茶も。
何杯飲んでも、料金は全て宿泊費に入っています。
ホテルの名前「AWA(アワ)」は、もう一つのテーマ「発酵ガストロノミー」の泡からきています。
バーにある「AWAラッシー」は、ワイン用のブドウ果汁とワインを発酵させたブドウ酢を使った自家製ラッシーです。あまりのおいしさに飲みすぎ注意です。
ナッツなどのプチおつまみもあり、チェックイン後、部屋に行くのも忘れて宴会モードになってしまいます。
夕食・夜食でも飲み放題
夕食時にも飲み物は好きなだけどうぞという、オールインクルーシブスタイルのAWA西伊豆。
メインダイニングにもバーカウンターがあります。
夜、小腹がすいた人や飲み足りない人には、発酵夜食ブッフェが用意されています。
発酵のおつまみ、伊豆鹿のハムやソーセージ、深海カレーなど、こだわりの品が10種類ほど。
提供時間は午後8時から午後9時半までなので、夕食を食べすぎると魅力的な夜食までたどり着けず、後悔するかもしれません。
これだけ付いて、宿泊費は朝食・夜食付きで1人1万5000円から、夕食付きで2万円からです。
とにかくホテルに一歩足を踏み入れたその時から、厳選された飲み物を心ゆくまで楽しめます。
のんべえには天国のようなホテルです!
発酵ガストロノミーな食事
夕食は、発酵をテーマにしたフルコースです。
まずはテーブルに華やかな前菜の数々が並びます。目にも美しく、器のこだわりもすてきです。
「ひと・やど・まちを元気に! 健康にしたい!」という会社のコンセプトから、料理では地元の食材が主役。
熟成肉の料理にも地元農家から届く無農薬野菜がふんだんに使用されています。
戸田漁港の新鮮な魚介も魅力的です。
朝食は静岡県産の「金芽米」をはじめ、戸田の野菜たっぷりのみそ汁や、サラダにたっぷりかけたくなる発酵ドレッシングバーが人気です。
肉や魚にも発酵ソースをたっぷりかけたくなります。
有機温泉たまごにカツオ節とこうじのソースを絡めた一品が最高で、ご飯おかわり必至。洋食派にはプチトーストやクロワッサンも用意されています。
とにかく「健康を意識した食」がベースですが、体にいいだけではなくおいしさや美しさも兼ねそろえています。まさに美食と言えるAWAの食事、食べすぎに注意が必要です。
アクティビティも追加費用なし
客室は和モダンでシンプル。スタンダードルームはフローリングタイプと畳タイプがありますが、どちらもベッドです。のんびりと部屋で過ごしたい人には露天風呂付や、広めの客室もあります。
ただ、館内のサービスが充実し過ぎで、寝る時間以外はほとんど部屋以外で過ごしていました。
少し早起きしたらライブラリーコーナーへ。
コーヒーを飲みながら本を手に取り、ソファでのんびりと過ごせます。ここでは時間がゆっくりと流れているように感じます。
中庭では花火を楽しむこともできます。ホテルが用意してくれる線香花火を眺めながら静かな時間を。 癒しのための心遣いが嬉しいです。
他にも貸切り空間でヨガや書道を楽しめます。周囲を気にせず自分一人でくつろぎの時間を堪能できます。
クロスバイクやeバイクも無料で使用できます。海までは自転車で5分。
絶景の夕日スポットを目指して、サイクリングを楽しめます。
モダンなガーデンテラスでのんびりと過ごすのもおすすめめです。館内の飲み物を持って行くこともできるので、気分はビアガーデン。
こうしたアクティビティも全て宿泊費に含まれています。
チェックインは午後3時、チェックアウトは午前11時。何に時間を使うか迷ってしまいます。
深海をテーマにした温泉
1986年に湧き出した戸田温泉は、肩こりや腰痛、リウマチなどの健康面や美容にも効果があると言われています。
大浴場は「深休の湯」「深海の湯」があり、男女入れ替わりです。
貸切り露天風呂「籠り湯」からは、戸田の美しい夜空を見上げることができます。
2人から貸し切りができて、1回の時間は午後3~10時まで45分間、追加料金はありません。
幻想的な音楽が流れ、優しい風に乗って枯葉が舞い落ちてくるのも風情があります。
「富士山の美しい場所に宿を」
ホテルを運営する竹屋旅館は1948年、創業者が埼玉から静岡市清水区を訪れた際に見た富士山が、あまりに美しく「富士山が美しいところには人が集まる」との熱い思いを持ち、宿を清水区で始めました。
それから時は流れ、4代目となる現オーナー・竹内佑騎さんは、戸田の御浜岬から見た富士山に魅了されました。
「こんなに美しい富士山の見えるこの地に宿を」。曾祖母である初代の富士山への思いと重なりました。
こうして2022年に生まれたのが「AWA西伊豆」です。
AWA西伊豆 オーナー・竹内佑騎さん:
当ホテルだけではなく地域の産業も人も宿も元気にしたい。家族向け観光スポットが少ない地域だからこそ、遊びに行ったついでに泊まる宿ではなく、あの宿に泊まりたいから行きたいと言われる宿でありたいと思います
どれだけ時間があっても味わい尽くせないほどのサービスがあるAWA西伊豆は、間違いなく宿が目的となるホテルでした。
■施設名 AWA西伊豆
■住所 静岡県沼津市戸田1480-1
■問合せ 055-88-9915(10:00~18:00)/070-8973-1793(夜間)
■駐車場 あり
取材/髙橋麻子
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